絵画
オレは幼い頃、絵を描くのも見るのも好きではなかった。
オレが描いた絵は皆の描いた絵に比べていびつに見え、親に連れていかれた美術館は退屈な時間だった。親は心配して児童向けのいろんな作家の画集を買ってくれたが、一向に興味はわかなかった。
しかし、ある日の美術展で見た絵が全てを変えてくれたように思える。それは大きな絵で、生卵がこぼれ落ちる絵だった。写真のようにも見えた。何才の時か記憶にないが、オレはその絵をしばらく見続けた。
なんでこんなものを描いたんだろう、それともこれはでかい写真なんだろうか。
まさにその時から、という綺麗な思い出ではないが、少しずつ、オレは絵を見ることと描くことが好きになった。親が買ってくれた画集を見、ダリの絵を真似した。下手のままだったが、とても楽しく思えた。
成長した後でも、アメリカのナショナルギャラリーでダヴィンチとモネの絵の前で思わず足が止まり、現代美術館でダリの溶けた時計の絵の小ささに驚き、大塚国際美術館でピカソのゲルニカ(の贋作)をずうっと眺めていたりした。
絵を見る、絵を描く、というのはとても奇妙な動作に思える。美術館に行くことが趣味だという人と、絵なんて見て何が楽しいのかという人、オレにはどちらの気持ちもわかる気がする。
絵を見ると思考が洗練される。作者が誰に何を伝えたかったのかを考える絵がある、ただただ思考も言葉も沸かず、眺めているだけで時間が経つ絵がある。それが何を意味するか、オレにはよくわからない。
惑星のさみだれ
10巻程度で完結する、人にオススメできる漫画は何か。そんなときオレはまずこの漫画を挙げる。
この漫画で一番面白いのはシナリオだと思う。2話目でわかることなのでネタバレするが、ラスボスはヒロインだ。
地球を滅ぼそうとする魔法使いを倒すために、仲間を探しつつ、魔法使いがけしかけて来るモンスターを、姫を守りながら主人公を始めとする仲間たちで倒す。ここまでは普通の話だ。
しかし姫=ヒロイン、さみだれは、最も強い力(サイキック)の持ち主で、実は主人公一団の中で最も強い。さみだれと主人公・雨宮夕日は、物語の2話目にして魔法使いを倒した後に地球を滅ぼすことを誓う、仲間たちには秘密にして。
死力を尽くして敵を倒しながら、主人公とヒロインだけは、いかにして仲間を欺くか、地球を滅ぼすかを考えている。こういうところが、今まで触れてきた漫画にあまりなかったので、とても新鮮な気がする。ただ悪いやつを倒して終わり、ではない。
仲間も一癖二癖ある奴らばっかりだ。最初から魔法使いと接触を計って裏切る素振りを見せてみたり、自分の力を試すために、モンスターと戦ってる最中に味方を襲ってみたり。
伏線の張り方もうまい、ああ、あのときのセリフはここにつながるのか、というのが
何回も出てくる。2回以上読むと気づくような伏線もあり、巧妙に隠されている(気づかない人は気づかないかも。。。)
設定もシンプルでうまい、最初から作る時に綿密に設定している感じがする。後付感はなく、行き当たりばったり感もない。適度に王道で、適度にミステリアス、適度にショッキング、適度に長くて、適度にラブコメ。
途中だれもないし、え。。。なにこれ。。。とかもない。完成度がとても高い漫画だと思う。